
vol.10
毎日を楽しく、安心して暮らせるように × トレンド
インタビュアー:相川将宏
2025.2.17
栃木県都賀町の魅力を、住んでいる人から伝えるヨモココ。
今回は、様々な事業を手がけている株式会社トレンド様にお伺いしました。
葬儀・法事事業の他、「ご高齢者の皆さまが、毎日を楽しく、そして安心して暮らす」ためのお弁当の宅配事業や移動販売事業も行っています。本日は代表の大塚友義様にお話を伺いました。
葬儀屋になった理由
- 相川
早速ですけど、創業してからどのくらいになるんですか?
- 大塚様
創業は2015年。23歳の時です。
今年で10年目を迎えました。- 相川
23!若いですね!
起業しようと思ったきっかけって何かありましたか?- 大塚様
19歳の時にお婆ちゃんの葬儀をみて、これから無くならない仕事をしたいと思ったのがきっかけです。
その時に20歳から葬儀屋に勤めて3年後には独立したいという目標ができました。
そして実際に20歳から見習いとして葬儀屋で働き始めたんです。- 相川
23歳で起業するって決めてたんですね!
すごいです。自分が19歳の頃なんて何も考えてなかったです(笑)
そうして葬儀事業から始まって、今では他にも色々やられているわけですか。- 大塚様
思い立ったらすぐ目標を立てて行動っていう感じです。
その分見切り発車も多いですが。
仕事を「こなさない」こと
- 相川
実際に葬儀屋さんになってみてどうでした?
- 大塚様
大変なのは時間の管理かな。時間が決められている中で葬儀を執り行うんですけど、
お坊さんに拝んで頂く時間、お別れの時間、挨拶の時間をそれぞれどのくらい取るか、
それがしっかり管理できていないと火葬の時間に遅れて、火葬場の方に迷惑をかけてしまうんです。- 相川
確かに今まで自分がみてきた葬儀は段取りがしっかりしていたイメージがあります。
- 大塚様
だけど「仕事をこなす」ってことはしたくないんです。
どういうふうにやりたいかっていうのをしっかりヒヤリングさせてもらって、
気持ちに寄り添いながらも、その後のことも考えたご提案をさせていただいてます。- 相川
仕事をこなしたくないって、あまり聞かないフレーズですね。
- 大塚様
例えば無くなられた方のご家族様の気持ちをしっかりお伺いしてお別れの時間を長めに取ることもあります。
あとは、若い方が自分で命を絶ってしまった場合などは、ご家族の方が周りに知られたくないとか色々な気持ちもあって、何もしないでそのまま家族だけで見送るっていうケースが多いんですけど、そこですぐ家族の言うとおりでやってしまうと、やっぱりあの時ちゃんとやってあげればよかったっていう後悔が絶対に残るんです。もう戻ることはできないので。結婚式とかはリハーサルができますけど、葬儀はその瞬間しかないから。- 相川
なるほど。確かにそういった亡くなり方をしてしまった場合、ご家族の方は冷静でいられなくて当たり前ですよね。
だからこそ、先ほどおっしゃっていたようにその後のことも考えて、ちゃんとおくり出してあげるご提案をされているんですか。- 大塚様
1日に葬儀が5件入ったことがあって、それでもやっぱりその1人1人、皆さんにそれぞれの人生や想いがあるんで、
1件ずつゆっくり話し合って、ご希望にそった葬儀をさせていただいてます。- 相川
1日に5件も入ったらそれこそ「こなす」ようになってしまっても仕方ない気がしますけど、
どうしてそこまで聞き出してあげられるんですか?- 大塚様
結局人と接することが好きなんです。
どういうふうにしたいかをしっかり聞き出してあげることは楽しいし、寄り添ってあげたいという気持ちも本当なんです。だから「こなす」っていうのはありえなくて、やりたいことを叶えてあげたいっていう思いでヒヤリングさせていただいてます。
うち、10年目ですけどまだ1件もクレームがないんです。- 相川
そこまで寄り添っていただけたら、安心できると思います。
お願いする側もそういった方にお願いしたいです。
それにしても10年目でクレーム0はすごいです!- 大塚様
葬儀屋っていうのは評判が重要で。
それがもし悪ければ、多分もう続けてられないと思います。- 相川
確かに最後のお見送りだからこそ、評判が悪いとここにお願いして大丈夫かなって思っちゃいます。
葬儀屋さんが親身になって気持ちに寄り添って考えてくれる、そこが選ばれる理由なんですね。
配食は、コミュニケーション
- 相川
最近は配食事業も伸ばされているそうですけど、見せて頂くことはできますか?
- 大塚様
大丈夫ですよ!
どうぞ。こちらです。- 相川
おおー!
彩り豊かなお弁当ですね!- 大塚様
栄養バランスもしっかり考えられていて、咀嚼ができない方にはムース食のご用意もあります。
お客様の好みや、アレルギーにもしっかり対応させていただいてます。- 相川
すごいですね!
これは毎日やられてるんですか?- 大塚様
そうですね。お昼だけの方もいらっしゃれば、お昼と夜の2回お届けする方もいらっしゃいます。
今は栃木市全域と、壬生、鹿沼で大体700件くらいのお客様がいらっしゃいます。- 相川
700件!
ご注文いただく方は施設と個人宅どちらが多いんですか?- 大塚様
個人宅が多いですね!
もちろん施設からもご注文いただいております。
今日も大体200件くらいお届けします。- 相川
何となく企業や施設が多いのかなってイメージでしたが、個人宅の方が多いんですか。
それだけ多くのお客様にご利用いただけている要因ってなんですか?- 大塚様
まずは美味しいっていうのが1つ。あとはやっぱりコミュニケーションかな。
核家族化が進んで高齢者の方が地域に取り残されてしまったりしている中で、うちが配達に行ったときに会話をすることを楽しみにしてくださるお客様も沢山いらっしゃいます。
お弁当を届けているはずなのに、逆に色々な頂き物をすることもあります。- 相川
なるほど。そこで信頼関係が生まれて少しずつ広まっていくんですか。
- 大塚様
庭になっているゆずを、わざわざ配達に合わせて段ボールで用意してくださったお客様もいました。
ありがたいです。- 相川
そういうの良いですね!
ただお弁当を配るだけじゃ中々そういう関係にはならないと思います。
普段からコミュニケーションを大切にされているからこそですね。- 大塚様
うちがお弁当を届けるのは、ただお弁当を売りたいからというよりも、見回りの意味が大きいんです。
だからお伺いしたら挨拶のあと少し会話したり、健康状態に変わりないか気にしてあげたりするんです。
実は、うちの社員はお弁当を届けに行って心臓マッサージまでしてきたことがあるんです。- 相川
ええ!?
- 大塚様
お昼と夜の両方お弁当をご注文いただいている方で、お昼に配達に行った時は元気だったんですが、
夜に届けた時に出てこなくて、いつも元気に出てきてくださる方だったので心配に思ってお邪魔させていただいたら、台所で倒れてしまっていたのですぐに救急に連絡して、到着まで心臓マッサージをして対応したんです。- 相川
そうだったんですか。中々できることじゃないと思います。
普通の配達だったら居なかったら諦めてしまうか、玄関に置いて終わりだと思います。
普段からコミュニケーションを大切にされていたからこそ、異常を察知して行動できたんですね。
見回りっていう言葉だけじゃなく、そういったレベル感で実践されているんですか。
便利で楽しい移動スーパー
- 大塚様
せっかくなので次はこちらが移動スーパーで使用しているトラックです。
- 相川
おおすごい!これが来たら嬉しいですね!
曲も流れてるんですか!- 大塚様
オリジナルソングです(笑)
歌詞を考えて、曲はフリーライターの方に作曲していただきました。- 相川
めちゃくちゃ良いです!スーパーっぽい曲!
- 大塚様
この車で曜日ごとにルートを決めて、毎日稼働してます。
ちなみに今回の商品はこんな感じです。- 相川
飴、ふりかけ、駄菓子、カラフルなラインナップ!
かなり懐かしいお菓子もあります。- 大塚様
病院や施設で普段外出のできない方に、お買い物を楽しんでいただけるようにしました!
- 相川
確かにコンビニの無い病院も多いので、来ていただいたら便利で良いと思います。
ちなみに何がよく売れてますか?- 大塚様
やっぱり駄菓子は結構買ってくださいます。
あとはデイサービスさんなどに行った時は飴もよく売れています。- 相川
なるほど。良いものしかないです!
普段外出できない方からしたら本当に楽しみだと思います!- 大塚様
ありがたいことにこの移動スーパーも
口コミや病院同士のネットワークでどんどん広まっているんです。- 相川
そうなんですか!お年寄りたちが商品を選んだり、お金を計算したり。
頭も使うから良さそうです。
家族のような存在になりたい
- 相川
お話を伺った配食や移動スーパーは、どのタイミングでやろうと思ったんですか?
- 大塚様
そうですね、最初は葬儀1本でやろうと思ってたんですけど、
やっていくうちに、これだと他の葬儀屋さんと一緒だなと思い始めて、
それで葬儀だけじゃなくて、高齢者のお困りごとや相談に乗ってあげられるようにしたいと決めたんです。- 相川
なるほど。それが配食でお年寄りの方の見守りを行ったり、
移動スーパーで便利に楽しんでいただいたりすることに繋がっているんですか。- 大塚様
亡くなって初めてじゃなくて、その前からお会いして、安心して楽しく暮らしていけるようにしたいんです!
そしてもしもの時が来てしまった場合は、家族と同じくらいの気持ちで見送ってあげられるようにしたいです。- 相川
不謹慎な言い方になりますけど、葬儀屋が安心して楽しく生きてほしいって、一見矛盾する気もしますが、
元々葬儀屋の仕事の頃から親身になってコミュニケーションをとることを大切にしてきた大塚さんだからこそ、ずっと関わって、頼っていただきたいという部分で1本しっかりとした芯を感じました。- 大塚様
そうですね。葬儀という人の死に関わる仕事を原点に、そこから人が生きていくことに繋げていくという事業の展開です。結局、コミュニケーションが好きなんですよ。
町をつくりたい
- 大塚様
先ほどの内容と繋がるところで、会社とは別で一般社団法人を立ち上げたんです。
そちらでは、身寄りのない方の保証人になったり、資金管理のアドバイスをしたり、より密接に皆様と関わっていくための活動をしています。- 相川
そうなんですか。
具体的にはどういった活動をされてるんですか?- 大塚様
例えば入院する時に、身寄りのない方は身元引き受け人が居なくて入院できない場合があるんです。
そういう時に代わりに受けてあげたりするんです。
この前も白内障の手術をしたいという方がいらっしゃったんですけど、手術をするには医者からの説明を第三者にも聞いてもらわないといけなくて、それを私が一緒に説明を受けて、術後の迎えにも行ってきました。- 相川
本当に家族みたいですね!そんな活動までされてたんですか。
- 大塚様
あとは例えば年金を貰っててギリギリで生活されている方が、施設に入所しなきゃいけなくなって、けど入所してしまうと年金だけではやっていけなくなってしまう場合があるんです。
そういう時は年金よりも生活保護の方が良い場合もあるので、そういったお悩みを伺ってご提案をさせていただくこともあります。- 相川
施設に入れないとその方はどこにも行き場がなくなってしまいますよね。そういった相談まで受けてらっしゃるんですか。元々自分が葬儀屋だからって決めつけてたらそこまではいかないですよね。
業種にとらわれず色々なことを一貫してやっていて、親身になってくれる大塚さんだからこそ気付けるし、相談しようとも思えます。- 大塚様
ありがたいですよ。そしてお年寄りから段々と若い世代まで広げていって、ゆくゆくはフリースクールも作りたいと思ってるんです。
今の日本の教育とはかけ離れてるかもしれませんが、自分の好きな時に好きなことを学んで、大きくなった時に本当にやりたいことを見つけられるようにしてもらいたい。そういう学校を作りたいと思ってます。- 相川
フリースクールですか!
確かに今の教育は皆同じタイミングで同じことを学ぶので、やり方に馴染めなくて社会から取り残されてしまう方もいますよね。- 大塚様
テストができるからえらいっていう、そういうのに一石を投じたいです。
結局社会に出てから馴染めなかった方たちが、どうしていいか分からずに犯罪に手を染めてしまったりする。
そうなる前に子どもの頃から自分の得意なことを理解して、やりたいことをやれる大人になってもらう、そういった学校を作りたいです。- 相川
大塚さん自身が19歳の時点で23歳で起業するって決めてその道に進んだわけですから、説得力があります。
- 大塚様
そうしてお年寄りから子どもまで皆さんの暮らしやすい町をつくりたいと思ってるんです。
納骨堂を中心に農業、居住区ってつくっていく。トヨタみたいな感じで(笑)
最後は土いじりをやりたいので、農業まで、6次産業まで全部自社で行いたいというのが夢です。- 相川
町ですか!それはまたすごい目標です!
けど皆さんが安心して楽しく暮らしていけるようにという想いは一貫されていて良いと思います!
そういった壮大な夢を持ちながら少しずつ事業を増やしていってるんですね。
走り続けて10年目。そして、これから。
- 相川
10期目を迎えて、何か変わったこととか大変だったことってありましたか?
- 大塚様
大変だったことかー。
10期目を迎えたというよりも、あっという間に10年目という感じです。- 相川
走り続けてきたということですか?
- 大塚様
そうです。実際悩みは尽きなかったと思うけど、それで止まるってことは無かったです。
最近ようやく色々なことが落ち着いて、本当にやらなきゃいけないことが見えてきた気がします。
利益だけではなく、社会に必要とされる会社を少しずつ作れているのだと思います!- 相川
なるほど!
社会全体から頼られる会社にしていきたいんですね。- 大塚様
100年、200年って続いていく会社を作りたいと思ってます。
そのためには業務は人が変わっても変わらずに動くようにして、コミュニケーションを大切にしていきたい。- 相川
人が居ないレジとか、ロボットが行う作業とか、どんどん便利になっていく反面、コミュニケーションが減ってきている時代だからこそ、大塚さんのような親身に寄り添ってくれる存在が必要なのかもしれないです。
- 大塚様
人との関わりを大切にしながらも最先端の技術や便利なことはどんどん取り入れていきたい。
例えば配食が伸びた要因の1つが、タブレット管理をするようになったことなんです。
配達効率が上がったのはもちろん、どのくらいで届くか問い合わせをいただいた時にもすぐにお答えできるようになって、その結果お客様と関わっていくということにもプラスになりました。- 相川
どんな技術があっても、結局最終的には人ですよね。
電子化とコミュニケーションをうまく融合されているのだと思います!- 大塚様
どれだけ便利な時代になっても結局、お店を選ぶ時ってあそこの大将が良いとか、あの販売員が親切だからとか、そういう選び方をするじゃないですか。
そういうのと一緒ですよね。いずれにしても、やりたいことが多すぎる(笑)
1つやるとまた次のステップが見えてくるんです。- 相川
人生が充実している証拠ですね(笑)
とても素晴らしいことだと思います!- 相川
本日はありがとうございました!
事業所紹介

株式会社トレンド
代 表:大塚友義
住 所:〒328-0111 栃木県栃木市都賀町家中5932-13
電 話:0282-25-7862

インタビュアー
相川 将宏
ココツガでは全体企画を担当しています。ヨモココやYouTubeチャンネルを通して、都賀町やそこに住む人々の「ココ」にしかない魅力、つながりを発信していきます。