vol.6
良いものを長く使ってほしい × ひるた仏具店
インタビュアー:相川将宏
2023.1.6
栃木県都賀町の魅力を発信していく「ヨモココ」
今回は仏壇・仏具を取り扱うひるた仏具店様にお邪魔しております。
仏壇を取り扱うお店では珍しく、店内に豊富な品揃えと、そして仏具のオンラインショップも運営されています。
今回は社長の蛭田桂子様にお話を伺います。
- 相川
早速失礼ですが、外から見るよりも中がだいぶ広くてびっくりしました。
- 社長
そうですね、外から見ると小さいお店です(笑
- 相川
看板はすごく見ていました(笑
そして品揃えがすごい!- 社長
ここまでお店に商品が置いてあるっていうのは、県内でもなかなかないんじゃないかと思います。
仏壇とか、仏像とか。
地元に愛される仏具店
- 相川
仏像がここまで並んでる姿って、圧巻です。
- 社長
小さいものから、大きなものまであります。
作るのも直接仏師の方にお願いしていて、大きい仏像はその方に作って頂いた物です。- 相川
これを掘って作ったんですね。すごいです!
- 社長
大きい木の塊を持ってきて、手で細かく掘って頂きます。
- 相川
とんでもない精巧さですね!
- 社長
あとは職人さんも居ますので。仏壇は勿論ですけど、お寺の瓔珞(ようらく)などを修繕したりもしました。
- 相川
ようらくというのは?
- 社長
お寺さんとか仏壇の上に下がっているじゃらじゃらした装飾のことです。
- 相川
あー!分かりました。そういうものも直せるんですか!
- 社長
あとは大平山神社の鳥居の上の額を製作させて頂いたりもしました。
- 相川
なるほど、仏壇の販売だけでなく、そういった神社仏閣の仕事も行っているんですね!
- 社長
あとは特注で作って欲しいというご要望にもお応えしています。個人の方から仏像とか大黒天のご依頼を頂くこともあります。
100円の物から300万円の物まで
- 相川
お菓子も売っているんですか?
- 社長
ああ、これはその香りがするというお線香です(笑
- 相川
そんなのあるんですね!サクマドロップスとか、カレーまで(笑
- 社長
オンラインショップの方で結構人気なんですよ。
- 相川
へぇ〜面白いですね!
- 社長
あとネットでよく買っていただくのはペット用のお線香とか、肉球のデザインで可愛いんです。
- 相川
ペット用のお線香もあるんですか。お線香ってもっと落ち着いたデザインしかないイメージでした。
今はこんな可愛いものもあるんですか!
変わっていく時代と多様な価値観。
- 社長
最近、よく売れているのは位牌です。
- 相川
これ全部位牌なんですか!すごい品揃えですね。
- 社長
20〜30種類はあるかな。
昔は黒とか金の落ち着いた物が多かったんですけど、今は結構いろんなものがあります。- 相川
白とか緑とか色のついたものまであるんですか!
- 社長
そうなんです。最近の多様な仏壇に合わせるとこういう感じになります。あとは塗装にこだわりがあったりしますね。
これは車と同じ塗装を使っていたり、こっちはピアノ。- 相川
確かに言われて見ればそういう質感です。光り方が違います。
- 社長
あとは会津塗りのものとか。
- 相川
へー、そういう伝統の塗りまで可能なんですか。
- 社長
けど大きさによっては仏壇に入らないこともあるので、初めての方にはまず仏壇を決めて頂いたり、大きさについてはしっかり伺うようにしてます。
- 相川
これだけ種類があると迷ってしまう気持ちも分かります。
でも、実際に目で見て触れるのは安心しますね。大切なものになりますから。
- 社長
最近だと小さい仏壇が人気なんですよ。昔はあまり見なかったようなデザインで…
- 相川
確かに。どこかオシャレにも見えます。
外見は小さいけど、開けると中はしっかりしてますね。すごく頑丈そう。- 社長
はい、ちょっとモダンです。
- 相川
正直、仏壇って大きくてずっしりしている物っていうイメージでした。
- 社長
年配の方はやはりそいういったものを選んで頂きますが、若い方は結構こういったものを購入されています。
- 相川
タンスみたいなものもあるんですか!
- 社長
これは家具調とか現代調といって、実は最近人気なんです。
- 相川
すごい家具って感じです(笑
- 社長
わざとそういう風に作ってるんです。最近の家は結構コンパクトだったり、洋風だったりするじゃないですか。
そういう家に置いてもぴったり合うデザインになってるんです。- 相川
なるほど。インテリアとしてもマッチしてる。一見仏壇って分からないです。
- 社長
うちでは神具も扱っているんですよ。
- 相川
おー、全体的に明るい色で、雰囲気がちがいますね!この場合も位牌が入るんですか?
- 社長
こちらの場合だと位牌ではなく、霊璽(れいじ)という物をいれますね。形は似ていますが、漆や色は塗っていません。
- 相川
なるほど。自分の周りではあまり見ないので新鮮です。
- 社長
この辺りの地域ではわりと多いんですよ。
- 社長
そしてこれがうちで一番大きい仏壇になります。
- 相川
おおーーーー!重厚感がすごい!
- 社長
もちろん無垢板でできてるんですけど、さらにこれは柾目なんです。こうやって、木目が真っ直ぐになってるんです。
- 相川
なるほどー。
- 社長
柾目だと大きな木からしか採れなかったり、それだけで貴重なんです。柾目で作ってくれって言われてもなかなか作れないんです。
- 相川
いやぁすごい。よく見ると本当に細かい。細部の造形まですごいですね。
- 社長
そうなんですよ、だけど全部木でできてるのでとても重いんです。運ぶのに3~4人くらい必要ですね。
仏壇に傷を付けるわけにはいかないですから。本気です。
想いのこもった仏壇。
- 相川
配送もされてるんですか?
- 社長
そうですね、主に関東圏内が多いです。あとは引っ越しのときに仏壇の配送だけお願いされたりとか。
- 相川
へー、そうなんですか。それはどうしてですか?
- 社長
購入頂いたときに運ぶというのは勿論ですが、仏壇は拝んで頂いているものなので、もし壊れたり傷がついたりしたときに単純に買い換えれば良いっていうものではないんですよ。
- 相川
なるほど、それで仏壇に詳しくて、安心してお願いできるひるたさんにご依頼されるというわけですか。
そりゃ専門店の方が安心ですよね。- 社長
そうなんです、うちの根底には「良いものを長く使ってほしい」という思いがあるので。なのでしっかり商品を見ながら説明させて頂けるように、取り揃えてるんです。
- 相川
説明もすごくわかりやすかったです。色々教えていただきありがとうございます。
悩んだとき、相談できるお店。
- 相川
社長の娘さんである百美様にお聞きしたいんですけど、ひるた仏具店で働き始めてから10年ということで。これまでいかがでしたか?
- 百美様
とにかく忙しかったですね、私も最初はお店番から始まったんですけど、夕方になるとお客さんも少なくなってくるんですよ、なのでその時間を使ってブログを始めてみました。
- 相川
ブログですか。仏具店のブログはめずらしいですね。
- 百美様
面白いかなと思って。
そこから段々とホームページ制作や画像加工について学んで、全部自分でやり始めたんです。- 相川
ええ!ホームページまでご自分でやられてたんですか!それはすごいです!
- 百美様
なんかもう、当時は何が分からないのかも分からない、そんな状況でしたね。
- 相川
それでも逃げずに努力した結果が今につながっているというわけですね。
- 百美様
ですかねぇ。転機といえば、そんな中でAmazonの方にスカウトして頂いたのが大きい出来事でした。
商品を売ってみませんか?ということで、最初は在庫処分のつもりでAmazonの倉庫に商品を送っていたんです。
そしたらそれが予想外に売れてしまって。- 相川
なるほど、それで本格的にオンラインショップをやっていこう!となっていくわけですか。
- 百美様
そうなんです、それが丁度3年前くらいでしたね。
- 相川
というと、2019年。オンラインショップはたくさんあるけど、仏具店のオンラインショップは数少ないですよね。
昭和14年の開業以来の歴史やノウハウを大切にしながらも、新しいことにもチャレンジしていく、言葉にするのは簡単ですが、実際行うのはなかなか大変なことだったと思います。- 百美様
たしかに大変でした。だけど、実際ホームページをご覧いただいて県北や県外の方にお越しいただいたときは、すごく嬉しいですね。あとは九州の方からご注文を頂いたり、ありがたいです。
- 相川
九州からですか!す、すごい。
- 百美様
お寺の方だったり、ご住職の方だったりからご注文頂けて。
あとはお客様が別のお客様を紹介してくださったり。- 相川
完全な口コミですね!今日インタビューしてみても分かりましたが、皆さんお優しいので、誰か困っていたらひるたさんを教えてあげようって思う気持ち分かります。実際に必要になったとして、最初何から始めたらいいか分からないというか。どうしたらいいか分からないですもん。
- 百美様
そうなんです、仏具はご紹介が多いのですが、それが1番嬉しいですね。
分からないことがあったらひるたに来て、とりあえずあそこに行けば何とかなるよねって、そういうお店にしていきたいと思ってます。- 相川
すばらしいと思います。本日は長い時間ありがとうございました。自分の知らないことも多く、とても興味深いお話でした。
事業所紹介
インタビュアー
相川 将宏
ココツガでは全体企画を担当しています。ヨモココやYouTubeチャンネルを通して、都賀町やそこに住む人々の「ココ」にしかない魅力、つながりを発信していきます。