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vol.2

いつもより”ちょっと”贅沢な時間を。 × 花之江の郷

インタビュアー:相川将宏

2021.11.30

栃木県都賀町の魅力を、住んでいる人から伝えるヨモココ。
第二回目は、都賀町大柿で和食バイキングを営む花之江の郷(株式会社花の弥)の代表、齋藤清美様です。
四季折々の風景を楽しみながら、旬のお野菜を中心とした、ほっとする食事を楽しめるお店です。
園内の雰囲気と似た、とても親しみやすく優しい店長様です。

相川

花之江の郷「とらっせバイキング」をはじめたきっかけを教えていただけますか。

齋藤様

私の父が約30年前から植物園を開いておりまして、来ていただいたお客様が、植物園を散策しながらお食事もできたらということで始まりました。当初はバイキング形式ではなく、普通の和食を提供するお店だったのですが、7~8年前からバイキング形式にさせていただきました。

相川

かなり前からやってらっしゃるんですね。
どうしてバイキング形式にしたのでしょうか?

齋藤様

冬場、植物園は閉園になるんですよ。なので、その時期にお客様を呼ぶためにどうするかと考え、期間限定で冬の間2ヶ月位始めたんです。
最初は植物園に来ていただいた人、知っている人しか知らないような感じでした。
それがお客様から『どうして1年間やらないのか』という声をいただくようになりまして。
お客様のご要望をうかがいつつ、『あっ、これはいけるかな』(笑 ということで3~4年前から年間を通しての営業を始めました。
結果、今では植物園よりもコチラ(とらっせバイキング)の方がメインになっています。

『いい』ところの朝ごはんって『いい』。

相川

居るだけで癒やされていくような感じがします…
現在ランチのみの営業ですが、ディナーやモーニングなどの予定はあるんでしょうか?

齋藤様

ディナーの要望はいただいていますが、現在はランチのみです。
以前ディナーで、フランス懐石料理をやっていたことはあります。そのなごりで今もピアノが置いてあるんです。自動演奏で夜、懐石料理をいただきながらライトアップした景色を見るということをやっていました。
でも、今は食材や人員の問題でお休みしています。
この雰囲気を楽しんで頂く為にお酒とライトアップされた景色があるとより良いとは思っていますが…

実は、朝のプランはもう頭の中にあります。
高級旅館等のようないわゆる『いい』ところの朝ごはんってやはり『いい』じゃないですか。
それだけでも楽しみですよね。
そういったものを人数限定で、食材を更にこだわってやってみたい。
それに、朝の静まり返った雰囲気ってあるじゃないですか。
すごくいいですよね。

相川

人数限定の貸切状態で食事できるとしたら、すごく優雅でいいですよね。
朝が充実していると、日中も前向きな気持ちで仕事や家事がはかどりますよね。
話を伺っていると、齋藤様自身もこの場所に対する思い入れを言葉の端々から感じられます。
だからこそ、この場所をつかって昼・朝それぞれのシチュエーションに対するアイデアが出てくるんだと思うんです。

齋藤様

そうですか?だけど、この場所は好きなのは本当です。
だからもっとこの場所を知っていただきたい。
この場所を、食事はもちろんですが、この雰囲気を感じてほしいんです。

食べたことありそうでない。
作れそうだけど、作れない。

相川

メニューは齋藤様ご自身で考えられているのでしょうか?

齋藤様

そうです。悩みながらも、すべて私が考えています。
考えたレシピで実際作ってみて、この場所に合うのか、材料の調達ができるのかなどを考えます。
それから、料理するスタッフも皆普通の主婦なので、料理人さんだと簡単に出来るかもしれないけれど、果たしてこれがうちのスタッフで作れるのか、営業時間も限られているのでスピード的にも出来るのか、その辺りも含めてメニューを考えているんです。

相川

え〜!主婦の方が作っているんですね!
だからでしょうかね。料理を見ていて、意外性があるのに、親近感もあるというか。
並んでいる料理を見ると、【柿サラダ】と書いてありましたよね。
柿をサラダにするんだ!柿はむいてしか食べたこと無い!と(笑

齋藤様

それがいいんですよ。その反応が欲しいんです(笑

この食材はこう食べるよね。というのあるじゃないですが。そこから外れた普通では無いメニューが欲しいんですよ。
うちのお客様は八割方女性なんです。皆さん家で料理する方も多い。
なので、家と同じものが並んでいたら魅力が無いじゃないですか。
だから主婦の皆さまに認めていただくためにあれこれメニューを考えるのが大変です。

相川

確かに思わず取っちゃうような、食べたこと無いけど気になるメニューが多いです。
齋藤様は小さい頃からメニューを考えたり、料理したりすることが好きだったんですか?

齋藤様

特に好きだったということも無いんですが、両親が共働きでしたので。
小さい頃から、姉といっしょに自分達の食べる分は自分達で作らないとということで作ったりはしていました。

相川

価格をおさえて(バイキングは平日税込1,490円)原価の計算もされつつ、これだけあるメニューを減らさないようにするというのは、凄いことですよね。作りたいものだけを作っていてたら、あっという間に原価割れしてしまう。
それをうまくやっていくのは、アイデアひとつなのかもしれませんが、裏ではきっと凄い苦労をされていると想像します。

齋藤様

そうですねー。まともに原価計算したら1500円では合わないと思います。

でも自分たちで畑をもって野菜を作ったり、園でなっている柿を使ってみたり、そういった工夫できる部分もあるんですよ。
そればっかりじゃないですけど(笑

やっぱり天候不順等で野菜が高騰したりするので、苦しいときもありますよ。
だからこそ、家では野菜があまり食べられない状況でも、ここへ来ればこんなに食べられるの!?というのを打ち出していかないと。
主婦の方だと、そういった野菜の価格高騰などもすっごく敏感だったりしますので。
お野菜が高い時は、そのお野菜メニューがなくなりやすいとか…(笑
そういった厳しいお客様の目もありますので、常にちゃんとしたものを出さないとという想いもあります。

美味しいことに真摯でありたい。

相川

経営とアイデアの部分って、脳の全く違うところを使いますもんね。
自分たちの畑で自家栽培もされているんですか?

齋藤様

そうなんです。
採れたての野菜は美味しいんですよ。

ここの畑で採れたじゃがいもを使ったポテトサラダが定番で人気メニューだったんですが、今年は天候のせいもあり、出来が悪くて。サラダにしてもまったく美味しくなかったんですよ。じゃがいもの美味しさがないというか。
だから今年はポテトサラダ出してないんです。

相川

え〜そうなんですね…残念…
環境や天候によってメニューを変えているんですね。

齋藤様

そうですね。決まった料理を毎年、その時期に流れで出していると思われがちですけど、その年によって旬の次期でも美味しい美味しくないがあるんですよ。

今年は出さなかったポテトサラダも、本当は出せなくはない美味しさではあるけれど、私が納得出来ない美味しさでしたし、もし常連のお客様に食べていただいたときに『あれ?』となってしまう。

相川

毎年、毎旬食べていないと判断できないですし、そういったこだわりが花之江の郷さんの『ブランド』いうか『スピリット』の部分だと感じます。
嘘が無いことを分かっているお客様が常連さんになっているんじゃないでしょうか。

相川

お客様のうち八割以上が女性だとおっしゃっていましたが、特に女性は口コミで伝わります。
味が変わったとか新しいところができたけどあそこはどうかとか。たぶんそういう話がすきなんですよね
そんな感じでお客さんって他のお店と比較して吟味した上で、良いと思った方に来るから、そういう情報ってすぐ伝わっちゃうんですよね。

齋藤様

そうなんですよ。そういうのが良くも悪くも伝わるのが早いんですよ。(笑
せっかく口コミで来ていただいたお客様に満足していただくために、コチラも常にレベルアップしていかないと。

相川

花之江の郷ブランドを創ることに関してはかなり配慮をされて、真面目に取り組んでおられると思います。その辺りを意識したのはいつ頃からなんですか?

齋藤様

そう聞かれるとどうなんでしょうか。
なんとなくですかね。

自分が昔懐かしい料理が好きだからか、昔の日本には色々な料理があるんだって気づいて、おばあちゃんしか作らないようなものを皆に知って欲しいというのはありますね。
だから若いお客様がいらっしゃると、『これなに?これなに?』って会話が聞こえてきます。

相川

それは、さっき僕らも話していました(笑
実際におばあちゃんからこの味を引き継いでいるとかでしょうか?

齋藤様

そうですね。ありますね。おばあちゃんだけでなく、親戚のおばさんとか年配の方の作った料理を見て覚えてと。
そういう、昔からある手法やアイデア、伝統を大切にしつつ、今のテイストや普通とはちょっと違ったオリジナルのメニュー作りをしているつもりです。

『わざわざ』来ていただける場所

相川

食べたことありそうで無いというか、初めて見るのに懐かしい感じがします。
男性のお客様はほとんどいらっしゃらないんですか?
お客様の年齢層も気になります。

齋藤様

男性もいらっしゃいますよ。女性の方が多いというだけなので。
夫婦で週末来られる男性の方は、必ずと言っていいほど奥様といらっしゃいます。

年齢層で言うと、コロナ禍になってから若い方の比率が増えました。逆にご年配の方がかなり減ってしまいましたが。
でも若い方がくるとSNS等で拡散してくださるので、ネット上でも自然と広がっているみたいです。ありがたいですね。

相川

写真を撮りたくなる気持ち、凄く分かります…
SNSというデジタルの口コミは大事ですよね。お客様との距離感も近くなりますしね。

結構遠方から来られる方もいるんですか?

齋藤様

それこそ都内や千葉・横浜等、遠方から来ていただけます。その中には、ここを植物園だと知らない方もいらっしゃるので、この田舎っぽい景色も含めて喜んでいただいているのかなと。

相川

実は、どうしてバイキングだけなのかなと思っていました。
もう少しお安いメニューってないのかなと(笑
実際に来てみたらそうじゃないなと。
この景色・雰囲気を含めた空間でお食事をすることが、ただのお食事にしていないですよね。
常連さんは自分の中で『大事にしたい場所』としていらっしゃっているんですね。

齋藤様

特別な空間というか、『わざわざ』来ていただく場所だと思っておりますので、その『わざわざ』感が無いと来ていただいた方に申し訳ないですよね。

毎月来ていただく常連さんで、毎回決まった席をご予約される方がいらっしゃって。
他にも広い席がございますよと言うのだけれど、やはりその席が良いとおっしゃっていただく。
きっとその方にとって大事な場所になれているんだなと思います。
そうやって特別な時間を過ごしていただけるのが、凄くうれしいです。

相川

大切な時間ですね…とても素敵です。
お店を経営されている齋藤様にとって、うれしい瞬間ってどんな時ですか?

齋藤様

やはりお客様に『おいしかったー』と帰り際にいわれることですね。
人間ってやはり、おいしかったりすると自然に言葉がでるじゃないですか。
おいしくなかったら出ないと思うんです。
それを聞けた時は凄くうれしくなります。あっホントにおいしいって思ってくれてるんだなって。

相川

『実はカレーが美味い』というのがネット上で書き込みがあったのですが、個人的に非常に興味があります。

齋藤様

個人的に(笑
夏季限定で3種類のカレーを出しています。
今はないですよ(取材は11月中上旬)

相川

(残念!)夏季限定なんですね〜。それはどうしてですか?

齋藤様

年間営業をするにあたって、それまで冬だけの営業でメニューも当然冬用だったんです。じゃあ夏メニューどうしようと考えて、夏といえばスタミナをつけなきゃいけないしということでカレーにしようかと。
カレーを出すにしても、今までのお客様がいらっしゃいますので、自然食と共存するカレーを考案しました。
カレーもありつつ今までのメニューも食べることが出来る。

相川

絶対おいしいじゃないですか!
夏の楽しみですね!

齋藤様

そのせいなのか、夏は男性のお客様も若干多めです(笑
皆さま是非いらっしゃってくださいね。

事業所紹介

株式会社花の弥(花之江の郷)

代 表:齋藤 清美

住 所:栃木県栃木市都賀町大柿1312

電 話:0282-92-8739

URL:https://hananoenosato.jp/

インタビュアー

相川 将宏

ココツガでは全体企画を担当しています。ヨモココやYouTubeチャンネルを通して、都賀町やそこに住む人々の「ココ」にしかない魅力、つながりを発信していきます。

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